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事例集 |
ケース5 LD、ADHD(不注意優勢型)
9歳女児。
<主訴>
LDではないか心配
<家族歴>
両親、本人、姉、弟の5人家族。姉も漢字が苦手。
<生育歴>
妊娠分娩歴異常なし。新生児黄疸のため光線療法をうける。
<現病歴> 身体を動かすことは好きだが、テンポが遅く、周りに合わせるのが苦手。ピアノを習うも不器用なため続かなかった。幼稚園の頃は特に指摘を受けなかった。小学校入学時点で、何とか自分の名前が読めるくらい。 小学校入学後、読み書きが定着しない、鏡文字を書くなど学習面の困難さが明らかになるも、担任からは『個人差ですので心配ないでしょう』とのこと。 授業中、書くのが遅くノートが書ききれないので休み時間に書いている。 ボーッとしていることが多く、声かけが必要。 担任からは『やればできるでしょ。早くしなさい。出来なければ残りは家でしなさい。』といわれ、毎日2時間自宅学習。 2年生になるとますます学習についていけなくなり、教室では緘黙傾向が見られるようになり、朝の登校しぶりも出現。 3年生の担任からすすめられ受診。
父親の話では、音読はすらすらできるが、途中から読むように指示すると読めないので、丸覚えしているようだとのこと。
<学習面>
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授業中に課題やノートを仕上げるのが難しい
A
音読はつぶ読み
B
ひらがなやカタカナは問題ないが、漢字は1年生レベルの読み書きが困難。
<行動面>
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ゆっくりしている
A
運動より、机上の作業が好き
B
決められた係活動などはまじめにこなす
<初診時の様子>
母親の後ろに隠れるようにして入室。
視線は慣れてくると自然な感じ。会話は声が小さく自信なさ気で表情がやや乏しい
<発達検査など>
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WISC-V:(VIQ=107、PIQ=86、FIQ=96)では正常知能。算数や数唱が悪く、耳で聞き取る力と記憶の悪さ。符号・記号の悪さから板書やノートを書くときの困難さ。
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視写:左右逆転、同じ文字をもう一度書きかけたりする。
・
聴写:文字を思い出すのに時間がかかる。疲れきってしまう様子。
・
BGT・フロスティッグ:目と手の協応、複雑な図形の認知の困難
<神経理学所見>
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聴覚:聴力障害なし。指示の通りにくさあり。
A
視覚:追従性・衝動性眼球運動、両眼視およびピント合わせいずれも不十分。立体視と近方視力は正常。目と手の協応は拙劣。DEMは眼球運動障害パターン(5%タイル)。
B
手は右利き、目は左利き、利き足は不定。触覚防衛反応なし。変換運動、微細運動、粗大運動はいずれも拙劣。
C
Gerstman陰性。
D
感覚:聴覚および触覚過敏なし。
<医学的検査>
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CPT:不注意・持続的注意の障害あり
A
甲状腺機能検査・脳波:正常
B
CDI:21点
<問題点の整理>
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微細・粗大運動の困難
A
視覚(眼球運動、視知覚、目と手の協応)の問題
B
読字書字困難
C
注意持続困難
D
自己評価の低下
E
保護者からの叱責
<個別の支援計画>
○通常学級
・座席の配慮
・漢字は色チョークを使って板書
・必要に応じ個別の声かけ、できたことをほめる
・授業の課題や宿題の量などの配慮
○通級指導教室
・仲間分け、概括化、意味づけして意識付ける。
・部首カルタ、パーツ集めなど視覚と運動の要素を取り入れる。
・粘土を使って漢字を構成。漢字は毎日1ページ。
○家庭
・学習の具体的な手立てとほめること、根気強く取り組むことを指導。
・宿題の内容などを調整(宿題タイムカード、確認カード、漢字カルタなど)
・視覚トレーニング(もぐら叩き、マースデンボール、ミシガントラッキング、コラムサッケード、タッチパネル、ジオボード、ペグボードなど)
・粗大運動(体操、スイミング、キャッチボール、風船バレー
ボール、卓球、縄跳びなど)
・微細運動(粘土遊び、折り紙、アイロンビーズ、トランプ、スケッチ、点つなぎ、プラモデル、パズル、迷路)
<医学的アプローチ>
注意集中の問題に対しリタリンの内服。
<評価>
@
微細・粗大運動の困難
→神経学的微症状、不随意運動やぎこちなさが軽減。
A
視覚(眼球運動、視知覚、目と手の協応)の問題
→対座法で目の動きは正常範囲。DEMは80%タイルまで改善。
B
読字書字困難
→音読はスムーズ、視写・聴写が早くなった。
新出漢字を覚えるのに時間がかからなくなってきた。
C
注意持続困難
→指示の入りにくさも改善。
D
自己評価の低下
→CDIは11点まで改善。
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