PDD 広汎性発達障害

PDD - 症状・症例

自閉症の三つ組

ウィングは「自閉症スペクトル」という概念に至る際、ジュディス・グールドと行った研究を通してある共通点に気づきました。それは、自閉的特徴を持つ子どもたちには、現在「自閉症の三つ組」と呼ばれる、互いに別のものではなく同時に存在する3種類の欠陥がある、ということです。

1)社会性(対人関係、人との相互交渉)の障害->対人、社会面で適切で相互的な関係をつくることが困難

2)コミュニケーションの障害->相手との相互的な意思疎通をはかることが困難

3)イマジネーション(想像力)の障害->思考や行動の柔軟性が未熟で、こだわりが強い

自閉症児の発達段階

太田昌孝氏の考案した「自閉症の認知発達水準」は、認知発達の低い方から順に大きく4段階に分けられており、そのうちstageTはさらに3段階に、StageVはさらに2段階に分けられています。

自閉症の認知発達水準:太田の分類

StageT :シンボル機能が認められない段階
 T-1:手段と目的の分化ができていない段階
 人への基本的要求手段がほとんどない
 T-2:手段と目的の分化の芽生えの段階
 人への要求手段が単一手段しかない(たとえば、クレーン現象のみ)
 T-3:手段と目的の分化がはっきり認められる段階
 人への要求手段が複数ある(クレーン現象が減少)

StageU :シンボル機能の芽生えの段階

StageV-1:シンボル機能がはっきり認められる段階
StageV-2:概念形成の芽生えの段階

StageW :基本的な関係の概念が形成された段階

広汎性発達障害における感覚過敏について

広汎性発達障害(PDD)児たちは様々な過敏さを持っていることが知られています。それは、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)すべてに生じ、これら感覚過敏を重複して持つ子どももいます。何故このような感覚過敏が生じるかについては、現在中枢神経系つまり脳(特に情動や感覚の入力などに関わる古い脳)の機能の不安定さが関与していると考えられています。また感覚過敏は「特異な行動」を伴うことで明らかになります。すなわち、耳を塞ぐ、目を覆う、偏食になる、身体接触を嫌う、服や靴下を脱ぎたがる、粘土を触るのを嫌がる、人の視線を避ける、教室から飛び出すなどの行動化によって、本人の異変や苦痛が周囲に伝えられます。これらの、自己流対処方法により特異な行動に出てしまう彼らの対処行動パターンを周囲が理解し、子どもを追いつめない(刺激過多にしない)配慮と、そうなった時のより適切な対処の仕方を教えられる人間関係(信頼関係)の構築が求められます。

  PDD児における感覚は過敏なだけでなく、逆に鈍感な側面も同時に併せ持つ、ということも知られています。つまり、彼らの生活がすべて過敏でピリピリしているわけではないのです。また他のストレスがかかり、イライラしているときにより感覚が研ぎ済まされ、過敏性が強くなることはしばしば見られます。

このようにPDDの感覚にまつわる問題には謎が多いのも事実ですが、過敏な感覚に意識が集中し過ぎて、他の感覚や意識がおろそかにされるのか、逆に気になる対象が多すぎて、余分に特定の感覚を研ぎ澄ませてしまうのかはよく分かりませんが、これらは何もPDDに限らず健常の人でも日常的に多少は体験していることだと思いますし、大それた課題ではなく、少しの配慮と関わり方の工夫でその対処法も実現できることかもしれません。基本的には、少しずつ我慢させる方向で慣らせていくという方法で軽減することが可能だと思われます。実際、感覚過敏が和らいだり、気にならなくなったというケースもあるのですから、いろいろ工夫してみる価値のあることでしょう。



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