ADHD
ADHD - 配慮と手立て
「落ち着きがない」「結果を考えずに思いつくままに行動してしまう」「集中が持続しない」などといった行動上の問題はとても目に付きやすく、幼児期から深刻な問題として取り上げられます。しかし、問題行動自体をなくすことに目がむけられがちなのが現状です。これらの問題行動の背景に、発達上の問題や学習面の問題を抱えており、時にLDを合併している場合も少なくありません。また、問題行動を引き金として怒られてばかりの経験を重ねると、自信をなくしたり自尊心を低下させることにも繋がります。「問題行動」よりも「なぜその行動が起こるのか」を念頭に置きながら、子どもに対応していくことが望まれます。
「不注意」な言動がみられる子どもへの手立て
<気が散りやすい子とは…>
- ケアレスミスをする。
- 課題や遊びなどで、注意を集中し続けることが難しい。
- 面と向かって話しかけられているのに、聞いていないような態度に見える。
- 気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避ける。
- 気が散りやすい。
- 指示に従えず、最後までやり遂げられない。
- 課題を順序立てて行うことが難しい。
- 学習課題や活動に必要な物をなくしてしまう
- 日々の活動において忘れやすい。
<背景として考えられること>
○ 情報の入力や処理に課題がある
- 聞いて理解する力(聴覚理解力)が弱い 。
- 見たり聞いたりしたことの内容から必要なことに注意を向けることができるが、その時間は短い。
- 総合的に判断することが困難。
<支援へのヒント>
○ 言葉の理解を促す
- 「お話しします」などと言って、注意を促す。
- 抽象的な言葉は避け、行動化しやすい言葉で指示をする。
- 注意を持続し、課題に取り組み続けられるように教師が声かけをする。
○ 視覚的にはたらきかける
- 注目しやすいように、課題にマークをつける。
- 始めに作業手順を図示するなど、全体の見通しが持てるようにする。
他にも、
- その子がやり遂げられるだけの量や内容を考慮して課題を始める。
- 好ましい行動モデルを示す。
- 廊下側や窓側など、刺激を受けやすい場所は避ける
「多動」な言動がみられる子どもへの手立て
<落ち着きのない子とは…>
- 手足をそわそわ動かしたり、もじもじしたりする。
- 授業中などに突然、不用意に離席する。
- 静かにじっとしていなければならないときに、過度にしゃべったり、動いたり、走り回ったりする。
- 遊びなどにおとなしく参加することが難しい。
<背景として考えられること>
中枢神経の行動を抑制する機能がうまく働いていないと考えられています。
<支援へのヒント>
○ 言葉の理解を促す
- 指示は具体的な言葉で、短く、はっきりと言う。
- 課題を明確に伝え、見通しを持たせる。
○ 視覚的にはたらきかける
- 「5分間黙っている」などと具体的な目標を決め、タイマーなどを利用して自ら課題に取り組ませる。
- 本人が活動する場所や位置を理解しやすいよう、目印になるものを用意する。
他にも、
- 課題が一区切りしたら、早めに休憩したり気分を変えたりする(のびをする、先生の手伝いをする、簡単な体操をするなど)
- 一息入れるときに、あらかじめ先生と決めた活動をする(トイレに行く、本棚の本を読むなど)
- 落ち着きがなくなってきたら、あらかじめ約束しておいた場所や方法 で一定の時間過ごすなど、気分を落ち着けるようにする。
「衝動性」のある言動がみられる子どもへの手立て
<衝動的な言動がめだつ子とは…>
- 質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう。
- 他の人がしていることをさえぎったり、じゃましたりする。
- 順番が待てない。
<背景として考えられること>
中枢神経系の問題が基礎にあって起こっており、自分勝手やわがままだからという訳ではない。
衝動性を抑制するための学習を積み上げて行かねばならない。
<支援へのヒント>
- 発言のルールをその子と決めておく。(「先生が肩に手を置いている間は話さない」「挙手し指名された人だけが発言できる」など)
- その子がルールに従わないときは無視する。ただし、ルールはその場で常に確認すること。
- 発言カードで発言回数をコントロールする。
- 話したいことがあっても、例えば「1、2 ・・・5」と自分でつぶやくことで、はやる気持ちを抑えるように促す。
- 列に並んで待つための工夫をする。(いすを置く、一定の範囲であれば動いて良いことにする、あと○人になったら、列に並ぶマークに入るなど「順番」が目に見えるようにする。)
- 行動の改善が見られたら、ほめる。
- 適切な行動がとれなかった場合、どうしたらよかったのか状況を振り返り、適切な方法をヒントを交えながら示す。