PDD 広汎性発達障害

PDD - アスペルガー症候群の定義・診断基準

299.80 アスペルガー障害 DSM-W

A.以下の少なくとも2つで示される、社会的相互作用における質的な異常
1 視線を合せること、表情、身体の姿勢やジェスチャーなどの多くの非言語的行動を、社会的相互作用を統制するために使用することの著しい障害
2 発達水準相応の友達関係をつくれない
3 喜びや、興味または達成したことを他人と分かち合うことを自発的に求めることがない(たとえば、関心あるものを見せたり、持ってきたり、示したりすることがない)
4 社会的または情緒的な相互性の欠如

B.以下の少なくとも1つで示されるような、制限された反復的で常同的な、行動、興味および活動のパターン
1 1つ以上の常同的で制限された、程度や対象において異常な興味のパターンへのとらわれ
2 特定の機能的でない日課や儀式への明白に柔軟性のない執着
3 常同的で反復的な運動の習癖(たとえば、手や指をひらひらさせたりねじったり、または身体全体の複雑な運動)
4 物の一部への持続的なとらわれ

C.この障害は、社会的・職業的あるいは重要な機能の領域において、臨床的に明白な障害を引き起こす

D.臨床的に明白な言語の全般的な遅れはない(たとえば、単語が2歳までに使用され、コミュニケーションに有用な句が3歳までに使用される

E.認知能力発達または年齢相応の生活習慣技能、適応行動(社会的相互作用以外)、および環境への興味の小児期における発達に、臨床的に明白な全般的な遅れはない

F.他の特定の広汎性発達障害や精神分裂病を満たさない

F84.5 アスペルガー症候群 ICD-10研究用診断基準

A.表出性・受容性言語や認識能力の発達において、臨床的に明らかな全般的な遅延はないこと。
  診断にあたっては、2歳までに単語の使用ができており、また3歳までに意思の伝達のための二語文(フレーズ)を使えていることが必要である。
身辺処理や適応行動および周囲に向ける好奇心は、生後3年間は正常な知的発達に見合うレベルでなければならない。しかし、運動面での発達は多少遅延することがあり、運動の不器用さはよくある(ただし、診断に必須ではない)。
突出した特殊技能が、しばしば異常な没頭にともなってみられるが、診断に必須ではない。

B.社会的相互関係における質的異常があること(自閉症と同様の診断基準)
(a) 視線・表情・姿勢・身振りなどを、社会的相互関係を調整するための手段として適切に使用できない。
(b) 機会は豊富にあっても精神年齢に相応した)友人関係を、興味・活動・情緒を相互に分かち合いながら十分に発展させることができない。
(c)社会的・情緒的な相互関係が欠除して、他人の情動に対する反応が障害されたり歪んだりする。または、行動を社会的状況に見合ったものとして調整できない。あるいは社会的、情緒的、意志伝達的な行動の統合が弱い。
(d) 喜び、興味、達成感を他人と分かち合おうとすることがない。(つまり、自分が関心をもっている物を、他の人に見せたり、持ってきたり、指し示すことがない)。

C.度外れた限定された興味、もしくは、限定的・反復的・常同的な行動・関心・活動性のパターン(自閉症と同様の診断基準。しかし、奇妙な運動、および遊具の一部分や本質的でない要素へのこだわりをともなうことは稀である)

次に上げる領域のうち少なくとも1項が存在すること
(a) 単一あるいは複数の、常同的で限定された興味のパターンにとらわれており、かつその内容や対象が異常であること。または、単一あるいは複数の興味が、その内容や対象は正常であっても、その強さや限定された性質の点で異常であること。
(b) 特定の無意味な手順や儀式的行為に対する明らかに強迫的な執着。
(c)手や指を羽ばたかせたり絡ませたり、または身体全体を使って複雑な動作をするなどといった、常同的・反復的な奇異な行動。
(d) 遊具の一部や機能とは関わりのない要素(たとえば、それらが出す匂い・感触・雑音・振動)へのこだわり。

D.障害は、広汎性発達障害の他の亜型、単純分裂病、分裂病型障害、強迫性障害、強迫性人格障害、小児期の反応性・脱抑制性愛着障害などによるものではない。

F84.5 アスペルガー症候群 ICD-10 ガイドライン

疾病分類学上の妥当性がまだ不明な障害であり、関心と活動の範囲が限局的で常同的反復的であるとともに、自閉症と同様のタイプの相互的な社会的関係の質的障害によって特徴づけられる。この障害は言語あるいは認知的発達において遅延や遅滞が見られないという点で自閉症と異なる。多くのものは全体的知能は正常であるが、著しく不器用であることが普通である。;この病態は男児に多く出現する(約8:1の割合で男児に多い)。少なくとも一部の症例は自閉症の軽症例である可能性が高いと考えられるが、すべてがしうであるかは不明である。青年期から成人期へと異常が持続する傾向が強く、それは環境から大きく影響されない個人的な特性を示しているように思われる。精神病エピソードが成人期早期に時に出現することがある。

診断は、言語あるいは認知的発達において臨床的に明らかな全般的な遅延が見られないことと、自閉症の場合と同様に相互的な社会関係の質的障害と行動、関心、活動の、限局的で反復的常同的なパターンとの組み合わせに基づいて行なわれる。自閉症の場合と類似のコミュニケーションの問題は、あることもないこともあるが、明らかな言語遅滞が存在するときにはこの診断は除外される。
(含)
自閉症精神病質
小児期の分裂病質

(除)
強迫性人格障害
小児期の愛着性障害
強迫性障害
分裂病型障害
単純型分裂病

アスペルガー症候群 豪州版スケール(ASAS)

アスペルガー症候群の診断を受けるまでには、二つの段階があります。第一ステップでは、この症候群なのかもしれない子どもを見分ける質問表、つまり評定尺度を親御さんか先生に記入してもらいます。第二ステップでは、発達障害の子どもの能力や行動を診る経験を積んだ臨床家によって、この症候群の特徴を明確に述べた公式の診断基準を用いた診断的評価がなされます。

以下の質問表は、小学校時代の子どもに見られるアスペルガー症候群の兆候を示す行動や能力の有無を確認するためのものです。この年代では、そのかわった行動や能力のパターンがとても目立ちます。それぞれの質問や叙述には、その年代の子どもに期待できる通常レベルをゼロ(ほとんどない)とする評定尺度が付されています。

A.社会的・感情的能力
1. ほかの子どもとの遊び方の理解に欠けることがありますか? 例えば、グループ遊びに暗黙のうちにあるルールに気づかないなど。
2. 昼休みのような、ほかの子どもと自由に遊べる時間に、ほかの子どもとの接触を避けますか? 例えば、離れていられる場所を見つけたり、図書室に行ったりするなど。
3. 人との接し方の決まりやマナーがわからないらしく、穏当を欠く行為や発言をすることがありますか? 例えば、相手の容貌に関することを口にして、それが相手の感情を傷つけるかもしれないことに気づかないらしいことなど。
4. 相手の気持ちに共感する、つまりその直感的な理解に欠けることがありますか? 例えば、相手に対して謝れば少しは機嫌を直してもらえると分かっていないなど。
5. 他人は、自分の考えや経験、意見などを判っているものと想い込んでいるなことがありますか? 例えば、何かに居合わせていない人は、そのことを知らないことをよく分かっていないなど。
6. 普段とは違うことをしたり不都合に対処するときに、普通以上にそれを繰り返し確認してやることが必要ですか?
7. 感情の表し方に、分別を欠いたところがありますか? 例えば、実 際とは掛け離れた感情の落ち込みや起伏を見せるようなこと。
8. 感情の表出を、適度に行えないことがありますか? 例えば、相手が違えば妥当な感情表現レベルも違うことを理解していないようなこと。
9. スポーツやゲーム、その他の課外活動でも、かち負けの争いに加わることに興味をもてないことがありますか?
10. 仲間からの社会的圧力に「無感覚」なことがありますか? 例えば、遊具や服装などの新しい流行を追わないなど。

B.コミュニケーションの技能
1. 言われたことを、字義どおりに受けとることがありますか? 例えば、「えりを正す」「お目玉を頂戴する」「胸に手を当てて考える」のような言い方に混乱するなど。
2. 口調にどこか不自然なところがありますか? 例えば「外人風」のアクセントだったり、肝心な言葉を強調しない一本調子だったりするなど。
3. 子どもと話しているときに、相手側のことに関心がないように思えることがありますか?例えば、会話中に相手の考えや意見を聞かなかったり、それに対する自分の考えを述べないなと。
4. 会話中に、期待するより目を合わせることが少ない傾向がありますか?
5. 話し方があまりに厳格だったり、細かなことにこだわることがありますか? 例えば、形式ばった言い方をしたり、生き字引のような 細かな話し方をするなど。
6. 会話をスムースに継いでいくことに問題はありますか? 例えば、 相手の言ったことが分からないときに、相手に聞き返さないで、いつもの話題に移ったり、延々と返事を考えているなど。

C.認知的な技能
1. 本を読むのは、知識を得るためが中心で、フィクションには無関心なように見えますか?例えば、事典や図鑑、科学の本には夢中になるが、冒険物語には熱心ではないなど。
2. 以前あったことや事実に関して、ずば抜けた長期的記憶力がありますか? 例えば、隣家の数年前の車のナンバーを記憶している、何年も前に起きた場面をありありと思い出すなど。
3. 仲間との想像的遊びをしないことがありますか? 例えば、自分のする想像的遊びにほかの子どもを入れなかったり、ほかの子どものしているごっこ遊びにはとまどって入れないなど。

D.特別な興味
1. ある特定の関心事に熱中して、その情報やデータを熱心に集めたりしますか? 例えば、乗り物や地図、リーグ戦の順位表などの知識が、まるで生き字引のように詳しくなるなど。
2. 毎日の決まりや予測が変化すると、甚だしく気分を害することがありますか? 例えば、いつもと違う道順で学校に行くことに苦痛を覚えるなど。
3. やらねば気が済まない手の込んだ約束ごと、つまり儀式的行動がありますか? 例えば、寝る前に必ずおもちゃを一列に並べるなど。

E.運動の技能
1. 動作のまとまりが悪いですか?例えば、ボールの受け取りがうまくできないなど。
2. 走るときに、足の運びがぎこちないですか?

F.その他の特徴
ここでは、それぞれの特徴が、少しでもあればチェックして下さい。
* 次のようなものに、独特な恐れや苦痛を覚える。
* 電気器具などの、日常的な物音
* 肌や髪の毛に軽く触れること
* 特定の衣類を身につけること
* 予期せぬ騒音
* ある特定のものを見ること
* 人の集まる、スーパーなどの騒々しいところ
* 興奮したり困難にぶつかると、手をパタパタさせたり、身体を揺する。
* 低レベルの痛みへの感受性に欠ける。
* 話し始めるのが遅かった。
* 顔を不自然に歪めたり、チックがある

(注)診断の基準は、今現在四組あります。その中でギルバーグたちの定めた基準を掲載します。
1. 社会性の欠陥(極端な自己中心性)次のうち少なくとも2つ)
* 友達と相互に関わる能力に欠ける
* 友達と相互に関わろうとする意欲に欠ける
* 社会的シグナルの理解に欠ける
* 社会的・感情的に適切さを欠く行動
2. 興味・関心の狭さ(次のうち少なくとも3つ)
* ほかの活動を受けつけない
* 固執を繰り返す
* 固定的で無目的な傾向
3. 反復的な決まり(次のうち少なくとも1つ)
* 自分に対して、生活上で
* 他人に対して
4. 話し言葉と言語の特質(次のうち少なくとも3つ)
* 発達の遅れ
* 表面的にはよく熟達した表出言語
* 形式的で、細かなことにこだわる言語表現
* 韻律の奇妙さ、独特な声の調子
* 表面的・暗示的な意味の取り違えなどの理解の悪さ
5. 非言語コミュニケーションの問題(次のうち少なくとも1つ)
* 身ぶりの使用が少ない
* 身体言語(ボディランゲージ)のぎこちなさ/粗雑さ
* 表情が乏しい
* 表現が適切でない
* 視線が奇妙、よそよそして
6. 運動の不器用さ
* 神経発達の検査成績が低い



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 現在「軽度発達障害」という言葉は障害の影響が軽度であるという誤解を受けるため、単に「発達障害」に改められましたが、当サイトではこのような経緯を理解しながらも、サイトの継続性を考えてこの名称を使っていることをご了承ください。、