LD 学習障害

LD 定義・診断基準

DSM-Wによる診断基準

学習障害 - 読書障害

A.読みの正確さと理解力についての個別施行による標準化検査で測定された読みの到達度が、その人の生活年齢、測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
B.基準Aの障害が読字能力を必要とする学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
C.感覚器の欠陥が存在する場合、読みの困難は通常それに伴うものより過剰である。

学習障害 - 書字表出障害

A.個別施行による標準化検査(あるいは書字能力の機能的評価)で測定された書字能力が,その人の生活年齢,測定された知能,年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
B.基準Aの障害が文章を書くことを必要とする学業成績や日常の活動(例:文法的に正しい文や構成された短い記事を書くこと)を著名に妨害している。
C.感覚器の欠陥が存在する場合、書字能力の困難が通常それに伴うものより過剰である。

学習障害 - 算数障害

A.個別施行による標準化検査で測定された算数の能力が、その人の生活年齢,測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
B.基準Aの障害が算数能力を必要とする学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
C.感覚器の欠陥が存在する場合、算数能力の困難は通常それに伴うものより過剰である。

運動能力障害 - 発達性協調運動障害

A. 運動の協調が必要な日常の活動における行為が、その人の暦年齢や測定された知能に応じて期待されるものより十分に下手である。これは運動発達の里程標の著名な遅れ(例:歩くこと、はうこと、座ること)、物を落とすこと、" 不器用"、スポーツが下手、書字が下手などで明らかになるかもしれない。
B. 基準Aの障害が学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
C. この障害は一般身体疾患(例:脳性まひ,片まひ,筋ジストロフィー)によるものではなく、広汎性発達障害の基準を満たすものでもない。
D. 発達遅滞が存在する場合、運動の困難は通常それに伴うものより過剰である。

コミュニケーション障害 - 表出性言語障害

A.表出性言語発達についての個別施行による標準化検査で得られた得点が、非言語的知的能力および受容性言語の発達の得点に比して十分に低い。この障害は、著しく限定された語彙、時制の誤りをおかすこと、または単語を思い出すことや発達的に適切な長さと複雑さを持つ文章を作ることの困難さなどの症状により臨床的に明らかになるかも知れない。
B. 表出性言語の障害が、学業的または職業的成績、または村人的意志伝達を妨害している。
C. 受容−表出混合性言語障害または広汎性発達障害の基準を満たさない。
D. 精神遅滞や言語−運動または感覚器の欠陥、または環境的不備が存在する場合、言語の困難がこれらの問題に通常伴うものより過剰である。

コミュニケーション障害 - 受容-表出混合性言語障害

A.受容性および表出性言語発達についての、個別施行による標準化検査で得られた得点が、非言語性知的能力の標準化法で得られたものに比して十分に低い。症状は、表出性言語障害の症状および単語、文章、特定の型の単語、例えば空間に関する用語の理解の困難を含む。
B. 受容性および表出性言語の障害が、学業的または職業的成績、または対人的意志伝達を著しく妨害している。
C.広汎性発達障害の基準を満たさない。
D. 精神遅滞や言語−運動または感覚器の欠陥、または環境的不備が存在する場合、言語の困難がこれらの問題に通常伴うものより過剰である。

ICD-10 研究用診断基準


F80.0 会話および言語の特異的発達障害 - 特異的会話構音障害

A. 構音(音韻)能力が,標準化された検査で評価した場合,その小児の年齢の2標準偏差以下である。
B. 構音(音韻)能力が,標準化された検査で評価した場合,非言語性IQより少なくとも1標準偏差劣る。
C. 言語表出および言語理解は,標準化された検査で評価した場合,その小児の年齢の2標準偏差以内である。
D. 会話の構音表出に直接影響を及ぼすような,神経学的・感覚的・身体的な障害がなく,広汎性発達障害(F84.−)でもない。
E. 主要な除外基準:標準化された検査で非言語性IQが70以下。

F80.1 会話および言語の特異的発達障害 - 表出性言語障害

A.表出性言語能力が,標準化された検査で評価した場合,その小児の年齢の2標準偏差以下である。
B.表出性言語能力が,標準化された検査で評価した場合,非言語性IQより少なくとも1標準偏差劣る。
C.受容性言語能力は,標準化された検査で評価した場合,その小児の年齢の2標準偏差以内である。
D.非言語的コミュニケーションおよび想像的言語機能を使い理解するのは,正常範囲内である。
E.表出言語の使用に直接影響を及ぼすような,神経学的・感覚的・身体的な障害がなく,広汎性発達障害(F84.−)でもない。
F.主要な除外基準:標準化された検査で非言語性IQが70以下。

F80.2 会話および言語の特異的発達障害 - 受容性言語障害

A.言語理解が,標準化された検査で評価した場合,その小児の年齢の2標準偏差以下である。
B.受容性言語能力が,標準化された検査で評価した場合,非言語性IQより少なくとも1標準偏差劣る。
C.受容性言語に直接影響を及ぼすような,神経学的・感覚的・身体的な障害がなく,広汎性発達障害(F84.−)でもない。
D.主要な除外基準:標準化された検査で非言語性IQが70以下。

F80.3 会話および言語の特異的発達障害 - てんかんを伴う後天的失語(症) ランドウ・クレフナー症候群

A.6か月間を越えない範囲で生じてくる,表出性および受容性言語能力の重度な喪失。
B.言語喪失の発症前は正常な言語発達。
C.言語喪失が発症した時点の前後2年以内に,一側または両側側頭部に突発性脳波異常が確認されること。
D.正常範囲の聴力。
E.非言語性の知的水準は正常範囲を維持。
F.てんかん発作(起こっているのであれば)や脳波異常が内在する以外に,診断可能な神経学的所見はまったくない。
G.広汎性発達障害(F84.−)の基準を満たさない。

F81.0 学習能力の特異的発達障害 - 特異的読字障害

A.(1)または(2)のいずれかがあること。
(1)読みの正確さと理解カが,その小児の暦年齢と全体的な知能を基にして期待される水準から,少なくとも2標準備差劣る。このさい,読字能力とIQは,その小児の文化・教育体系において標準化された検査を個別 に施行した評価を用いておくこと。
(2)過去に重度な読字困難の駄往があった、または幼い頃の検査が基準A(1)に該当していたことに加えて,綴字検査の成績が、その小児の暦年齢とIQを基にして期待される水準から,少なくとも2標準煽差劣る。
B.基準A項の障害のために,読字能力を要する学業の成績あるいは日常生活の活動に明らかな支障をきたしていること。
C.視聴覚能力の障害または神経学的障害に直接起因するものでないこと。
D.平均的に期待される範蹄の就学歴であること(つまり,著しく不適切な教育歴ではない)。
E.主要な除外基準:標準化された検査を個別に施行して,IQが70以下。

F81.1 学習能力の特異的発達障害 - 特異的書字障害

A.標準化された書字検査おける評点が,その小児の暦年齢と全体的な知能を基にして期待される水準から,少なくとも2標準偏差以下である。
B.読字の正確さと理解力および計算力の評点は,正常範囲であること(平均から±2標準偏差以内)。
C.重度な読字困難の病歴がないこと。
D.平均的に期待される範囲の就学歴であること(つまり,著しく不適切な教育歴ではない)。
E.書字学習の早い段階から書字困難が存在すること。
F.基準A項の障害のために,書字能力を要する学業の成績あるいは日常生活の活動に明らかな支障をきたしていること。
G.主要な除外基準:標準化された検査を個別に施行して、IQが70以下。

F81.2 学習能力の特異的発達障害 - 算数能力の特異的障害

A.標準化された算数検査おける評点が,その小児の暦年齢と全体的な知能を基にして期待される水準から,少なくとも2標準誤差以下である。
B.読字の正確さと理解カおよび書字能力の評点は,正常範囲内であること(平均から±2標準備差以内)。
C.重度な読字困難または音字困難の病歴がないこと。
D.平均的に期待される範囲の就学塵であること(つまり,著しく不適切な教育歴ではない)。
E.算数学習の早い投階から算数の困難が存在すること。

F82 運動能力の特異的発達障害

A.標準化された微細または粗大な協調運動の検査における評点が,その小児の暦年齢を基にして期待される水準から,少なくとも2標準備差以下である。
B.基準A項の障害のために,学業成績あるいは日常生活の活動に明らかな支障をきたしていること。
C.神経学的障害の所見はない。
D.主要な除外基準:標準化された検査を個別に施行して,IQが70以下。

文部省(現 文部科学省)による定義

 学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

「学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議  最終報告(1999)」より抜粋

文部科学省による判断基準

診断基準

 次の判断基準に基づき,原則としてチーム全員の了解に基づき判断を行う。
A.知的能力の評価
@全般的な知的発達の遅れがない。
・ 個別式知能検査の結果から,全般的な知的発達の遅れがないことを確認する。
・ 知的障害との境界付近の値を示すとともに,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論するのいずれかの学習の基礎的能力に特に著しい困難を示す場合は、その知的発達の遅れの程度や社会的適応性を考慮し,知的障害としての教育的対応が適当か,学習障害としての教育的対応が適当か判断する。
A認知能力のアンバランスがある。
・ 必要に応じ,複数の心理検査を実施し,対象児童生徒の認知能力にアンバランスがあることを確認するとともに,その特徴を把握する。

B.国語等の基礎能力の評価
○ 国語等の基礎的能力に著しいアンバランスがある。
・ 校内委員会が提出した資料から,国語等の基礎的能力に著しいアンバランスがあることと,その特徴を把握する。ただし,小学校高学年以降にあっては,基礎的能力の遅れが全般的な遅れにつながっていることがあるので留意する必要がある。
・ 国語等の基礎的能力の著しいアンバランスは,標準的な学力検査等の検査,調査により確認する。
・ 国語等について標準的な学力検査を実施している場合には,その学力偏差値と知能検査の結果の知能偏差値の差がマイナスで,その差が一定の標準偏差以上あることを確認する。
 なお,上記A及びBの評価の判断に必要な資料が得られていない場合は,不足の資料の再提出を校内委員会に求める。さらに必要に応じて,対象の児童生徒が在籍する学校での授業態度などの行動観察や保護者との面談などを実施する。
また,下記のC及びDの評価及び判断にも十分配慮する。

C.医学的な評価
○ 学習障害の判断に当たっては,必要に応じて医学的な評価を受けることとする。
・ 主治医の診断書や意見書などが提出されている場合には,学習障害を発生させる可能性のある疾患や状態像が認められるかどうか検討する。
・ 胎生期周生期の状態,既往歴,生育歴あるいは検査結果から,中枢神経系機能障害(学習障害の原因となり得る状態像及びさらに重大な疾患)を疑う所見が見られた場合には,必要に応じて専門の医師又は医療機関に医学的評価を依頼する。
@収集された資料から,他の障害や環境的要因が学習困難の直接的原因ではないことを確認する。

D.他の障害や環境的要因が直接的原因でないことの判断
 校内委員会で収集した資料から,他の障害や環境的要因が学習困難の直接の原因であるとは説明できないことを確認する。
・ 判断に必要な資料が得られていない場合は,不足の資料の再提出を校内委員会に求めることとする。さらに再提出された資料によっても十分に判断できない場合には,必要に応じて,対象の児童生徒が在籍する学校での授業態度などの行動観察や保護者との面談などを実施する。
A他の障害の診断をする場合には次の事項に留意する。
・ 注意欠陥多動障害や広汎性発達障害が学習上の困難の直接の原因である場合は学習障害ではないが,注意欠陥多動障害と学習障害が重複する場合があることや,― 部の広汎性発達障害と学習障害の近接性にかんがみて,注意欠陥多動障害や広汎性発達障害の診断があることのみで学習障害を否定せずに慎重な判断を行う必要がある。
・ 発達性言語障害,発達性協調運動障害と学習障害は重複して出現することがあり得ることに留意する必要がある。
・ 知的障害と学習障害は基本的には重複しないが,過去に知的障害と疑われたことがあることのみで学習障害を否定せず,「A.知的能力の評価」の基準により判断する。

「学習障害児に対する指導について(報告)」(平成11年7月)より抜粋


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