発達障害に関わる情報
心理検査
発達検査
発達検査とは?
主に乳幼児や小学生の発達状態を調べ、養育に役立てるための心理検査です。
軽度発達障害の診断では…
子どもの全般的な発達状態を評価し、早期治療・早期療育へとつなげていきます。
新版K式発達検査2001(Kyoto Scale of Psychological Development 2001)
- 対象年齢は新生児から成人まで。
- 「姿勢・運動領域」「認知・適応領域」「言語・社会領域」の3領域で構成。
- 通過年齢ごとに項目整理され、通過項目の数により得点を算出し、発達年齢換算表を用いて全領域または各領域ごとの発達年齢(Developmental Age:DA)が求められる
- 検査日と被験者の生年月日より生活年齢(Chronologence Age:CA)を算出。
- 発達年齢と生活年齢を用いて、発達指数(Developmental Quotient:DQ)を求めることができる。発達指数(DQ)=発達年齢(DA)/生活年齢(CA)×100(小数点以下は四捨五入)。
遠城寺式乳幼児分析的発達検査法
- 対象年齢は新生児から4歳7ヶ月まで。
- 「移動運動」「手の運動」「基本的習慣」「対人関係」「発語」「言語理解」の6領域で構成。
- 各々の領域ごとに発達段階・年齢水準に沿った適切な課題が設定。
- 被検査者の生活年齢に近い課題から始め、出来ればその次の生活年齢相応の課題に進み、不合格の課題が3つ連続した時点でその領域の課題は終了する。
- 各領域の発達年齢をグラフ化し、プロフィールが得られる。
- 生活年齢より上にあれば良好発達、下にあれば遅滞と判断。
知能検査
知能検査とは?
学習指導や就学指導、障害者認定などを実施目的として使われる、知能を測定するための心理検査です。
発達障害の診断では…
子どもの学習における発達状態、すなわち学習能力を評価し、その能力に応じた学習指導の計画やIEP(個別支援教育)の作成がなされるための検査が行われます。
WISC-V
(Wechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition:
ウェクスラー式知能検査)
- 対象年齢は5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月。
- 知的発達状態をIQ(Intelligence Quotient:知能指数)で評価。
- 「言語性検査」「動作性検査」の2種に大別される下位検査により「言語性IQ」(Verbal IQ:VIQ)と「動作性IQ」(Performance IQ:PIQ)が求められ、さらに言語性IQと動作性IQを統合して「全検査IQ」(Full IQ:FIQ)という3つのIQが求められる。
- 言語性下位検査…A知識、C類似、E算数、G単語、I理解、K数唱
- 動作性下位検査…@絵画完成、B符号、D絵画配列、F積木模様、H組合せ、J記号探し、L迷路
- 個人内差」の分析が可能
- 「言語理解」「知覚統合」「注意記憶」「処理速度」の4つの群指数により、子どもの学習能力の特徴や指導における留意点を把握することができる。
- 言語性IQ>動作性IQの場合、視覚認知能力や視覚と運動を統合する能力、空間認知能力に課題があるとされている。
- 言語性IQ<動作性IQの場合、言語表出能力や言語理解能力に課題があるとされている。
人格検査
人格検査とは?
誰に対しても同じもので統一された質問や図版などの特定の刺激を提示し、それに対する反応(答え方や態度など)を分析することでその人の人格を評価するものです。それは今後の治療に役立てるもので、その人の人格を決定づけたり否定するために行うものではありません。
人格検査にはその検査課題により「質問紙法」「投影法」「作業検査法」の3つに分類されます。
発達障害の診断では…
認知や思考の特徴、二次障害における精神状態をみる際に使われることが多いようです。また、検査課題としては「投影法」に分類される検査が多く用いられています。
投影描画テスト
- 対象年齢は幼児から成人。
- 被験者によって描かれた絵の全体的印象、描画配置、筆圧、描線特徴などから人格・精神状態や家族関係などを解釈する。
- HTP(House,Tree,Person)法…1枚の紙に家、木、人物を描く。1枚につき木と人物を単独で描かせる場合もある。(バウムテスト、人物画テスト)
ロールシャッハテスト
- 「インクのしみ」という視覚刺激を用いた図版を提示し、被験者に何に見えるかを答えてもらい、その答えから被験者が見たものやどの領域をどんな特徴で見たのかを分析し、被験者の外界への関わり方や対処法の特徴を解釈する。
- 施行法により、分析・解釈の差が若干見られる。
文章完成法(Sentence Completion Test : SCT)
- 不完全な刺激文(独自で作成可)に続く言葉を自由に書いてもらい、その内容を分析して被験者の性格傾向を解釈する。
- 単独で使われることはほとんどなく、他の検査と組み合わせて解釈に至る場合が多い。