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ICD-10 ガイドライン F90 多動性障害 この一群の障害は早期の発症、著しい不注意と持続した課題の遂行が出来ないことを伴った調節不良な多動、そしてこのような行動特徴がさまざまな状況でも、いつまでも持続していることによって特徴づけられる。 体質的異常がこのような障害の正因として重要な役割をになうと一般的に考えられているが、現時点では特異的病因は不明である。近年、このような症候群に「注意欠陥障害」という診断名の使用が推奨されている。ここでそれを用いない理由は、まだ受け入れられていない心理学的過程の知識を含んでいること、そしてさまざまな問題によって不安になったり、没頭していたり、あるいは「夢想的」で無感情な小児を含むということを示唆するからである。 しかしながら、不注意という問題は、行動という見地から、これらの多動症候群の中心的な特徴を構成することは明らかである。 多動性障害の早期(通常生後5年以内)に生じる。その主な特徴は、認知の関与が必要とされる活動を持続できず、どれも完結することなく1つの活動から次の活動へと移る傾向であり、そしてそれに体制化されない調節不良の過度の運動をともなう。このような問題は通常、学齢期を通じて持続し、時に成人期まで持続するが、しかし多くの例で通常、次第に行動や注意の改善が見られる。慮がない。他の子どもとの関係では人気がなく、孤立しがちで、認知の障害が通常みられ、運動発達や言語発達の特異的な遅れが不相応に頻繁にみられる。 他のいくつかの異常が合併することがある。多動児はしばしば向こう見ずで、衝動的で、事故を起こしやすく、熟慮の末の反抗というよりは軽率な規則違反を犯すため、しつけの問題とされることになる。彼らの大人との関係では、しばしば社会的な抑制が欠如し、ふつうにみられるはずの注意や遠反社会的行動と低い自己評価が二次的に合併することがある。したがって、しばしば多動と「社会化されない行為障害」などのような、周囲に迷惑を及ぼすような他の行動パターンと重複する。しかしながら、現在における知見では、多動が主な問題となる一群を分離することを推奨する。 多動性障害は男児に女児の数倍多く出現する。 読みの困難(および/又は他の学業上の問題)を随伴するのが普通である。 診断ガイドライン 注意の障害と多動が基本的特徴である。両者が診断に必要であり、1つもしくはそれ以上の状況で両者を明らかにしなければならない(たとえば家庭、教室、病院など)。 注意の障害は、課題を未完成で中止したり、活動が終わらないうちに離れてしまったりすることで明らかになる。こういった子どもたちはしばしば1つの活動から次の活動へ移るが、おそらく他のことに気が散り、1つの課題に注意を集中できないためと思われる(しかし臨床検査では通常、異常な程度の知覚や認知の転導性を示さない)。持続性と注意の欠陥は、その子どもの年齢とIQから考えて過度な場合にのみ診断されるべきである。 多動は、とくにおとなしくしていなくてはならない状況において、過度に落ち着きがないことを意味する。状況によって、走り回り跳ね回る、あるいは座ったままでいるべきときに席から立ち上がる、あるいは過度にしゃべり騒ぐ、あるいはもじもじそわそわしていることが含まれる。 判定の基準は、状況から予想される程度より活動が過度でかつ、同じ年齢とIQの他の小児と比較して活動が過度であることが必要である。この行動特徴が最も顕著となるのは、行動の自己統制が高度に必要とされる、構造化され組織化された状況である。 以下の随伴する特徴は診断に必ずしも必要でもないが、診断の確認に役立つ。社会的関係での抑制欠如、多少危険な状況でも向こうみずであること、社会的規則に対する衝動的な軽視(他人の活動に干渉したり妨げたり、他人が質問を終わらないうちに答えたり、順番を待つのが困難であったりすること)などである。 学習の障害と運動の不器用さはきわめてしばしばみられ、これらが存在するときは個別に(F80-F89)に記載されるべきであり、これらはこの多動性障害を実際診断するさいの基準の一部にしてはならない。 行為障害の症状は主診断の基準でも包含基準でもない。しかしその症状が存在するかしないかは、この障害の主な下位分類の基準となる(以下参照せよ) 特徴的な問題行動は早期に発現(6歳以前)し、長く持続するものである。しかしながら、入学前には正常範囲の幅が大きいので、多動と認定するのは困難である。学齢以前の幼児では程度が極度の場合のみ診断がなされる。 多動性障害と診断することは成人期でも可能である。基本的には小児期と同様であるが、注意と行動に関しては発達に見合った基準を考慮して診断しなければならない。多動が小児期に存在し、しかし現在はなく反社会的人格障害や物質乱用などの他の状態になっている場合には、以前の状態ではなく現在の状態でコード化する。 鑑別診断 障害が混合していることが普通であり、そして広汎性発達障害がある場合には、それが優先する。診断で主に問題となるのは行為障害との鑑別である。多動性障害はその診断基準が満たされれば、行為障害に優先して診断される。しかしながら、軽度の過動と不注意は行為障害でも一般にみられる。多動と行為障害の特徴がいずれも存在し、しかも他動が広汎で重篤な場合には、「多動性行為障害」(F90.1)と診断されるべきである。 さらに問題は、多動性障害に特徴的なものとはいくぶん異なる種類の過動と不注意が、不安あるいはうつ病性障害の症状として起こることがあるという事実である。したがって激越うつ病性障害の典型的な症状である落ち着きのなさから、多動性障害の診断を導きだしてはならない。同様に、しばしば重篤な不安の症状としての落ち着きのなさから多動性障害の診断を導き出してはならない。もし不安定性障害の1つの基準(F40-,F41-,F43-あるいはF93-)が満たされるならば、不安と結びついた落ち着きのなさとは別に多動性障害の随伴が明らかでない限り、それが多動性障害に優先する。同様に、気分障害(F30 -F39)の診断基準が満たされるならば、単に注意集中が障害され、精神運動性激越があるという理由で多動性障害を付加して診断してはならない。二重診断は、気分障害の単なる部分症状ではないことが明確に示される多動性障害が存在する場合にのみなされるべきである。 小児の多動行動が学齢期に急激に発症する場合には、あるタイプの反応性障害(心因性かあるいは器質性)、躁状態、分裂病あるいは神経学的疾患(たとえば、リュウマチ熱)によるものが多い。 (除く) 不安障害(F41.-あるいはF93.0) 気分(感情)障害(F30-F39) 広汎性発達障害(f84.-) 精神分裂病(F20.-) F90.0 活動性および注意の障害 満足のいく多動性障害の下位分類は、いまだに不確定である。しかしながら、青年期や成人期における転帰は攻撃性、非行あるいは反社会的行動を伴っているかどうかによって大きく影響されることが追跡調査によって示されている。したがって、主要な下位分類はこのような特徴が合併するかしないかによってなされる。多動性障害(F90.-)のすべての診断基準が満たされるが、F91.-(行為障害)の診断基準が満たされないときにF90.0とコード化されるべきである。 (含む) (除く) 多動性障害(F90.-)のすべての診断基準、および行為障害(F91.-)のすべての診断基準の満たされるときに、コード化がなされるべきである。
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